HLH/LCH委員会

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【委員会のご紹介】
 

HLHとかLCHとか聞きなれない、紛らわしい病名ですが、ともに組織球という白血球の一種が増える病気です。HLHは血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocytic lymphohistiocytosis)、LCHはランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis)の略です。

HLHは、サイトカインという白血球が出すホルモンのようなものが多量に分泌され、免疫が制御不能に活性化され、マクロファージという組織球が暴れる状態です。症状として高熱が続くのが一番の特徴です。脾臓やリンパ節が腫れることもあります。血液検査では、白血球や血小板の減少、貧血、血液凝固障害、肝機能障害、黄疸等が現れます。これらに加え、フェリチン、可溶性IL-2受容体、尿中β2ミクログロブリンの異常高値が特徴的です。このような状態に陥る原因は様々です。遺伝的な免疫異常がある例、EBウイルスに代表される感染症が原因の例、リンパ腫や自己免疫疾患に伴う例もあります。急激な経過とたどって致命的になる例が多くありますので、原因不明の高熱が続く場合にはまずHLHを疑い、早期診断、早期治療することが肝心です。

1994年から国際組織球学会(Histiocyte Society)は国際プロトコールによる臨床研究(HLH-94)を開始しました。その後、2004年から改良されたHLH-2004研究が始まり、JPLSGとしてこれに参加しました。これらの研究により、HLHの治療成績は飛躍的に向上し、HLHの原因や病態についても多くのことがわかってきました。現在、新たな治療プロトコールを作成中で、今後も、HLHの治療成績向上と病態解明を目指していきます。

LCHは、未熟樹状細胞という組織球(LCH細胞)が体のあちこちで異常に増えて、骨を融かしたり、こぶを作ったりする病気です。骨や耳、頭、皮膚、肺、歯茎などさまざまなところに症状がでます。多くの患者さんはLCHの病変があってもすぐに命にかかわることはありません。自然に治ることさえあります。しかし、多臓器型でリスク臓器(肝臓、脾臓、肺、造血器)に病変があり治療が効かない場合には、どんどん症状が悪化し半数の患者さんは命を落とします。また、LCHは一旦よくなっても再び症状が出ることがしばしばあり、多臓器型では長い経過の中で、70%以上の患者さんに尿崩症や難聴、骨の変形、中枢神経障害、成長障害など、何らかの不可逆的な障害が残ります。この様にLCHは、さまざまな症状がでて、さまざまな経過をたどる、まれで不思議な病気です。

1996年から日本LCH研究会は臨床研究を開始し、治療成績は飛躍的に向上しました。これを受け継ぎ、JPLSGでは2012年より、LCH-12研究を開始しました。今後もLCHの最適な治療法は何かについて、研究を進めていきます。


【業績】
 
1. Imamura T, Sato T, Shiota Y, Kanegane H, Kudo K, Nakagawa S, Nakadate H, Tauchi H, Kamizono J, Morimoto A: Outcome of pediatric patients with Langerhans cell histiocytosis treated with 2 chlorodeoxyadenosine: a nationwide survey in Japan. Int J Hematol. 91: 646-651. 2010

 2. Nagai K, Yamamoto K, Fujiwara H, An J, Ochi T, Suemori K, Yasumi T, Tauchi H, Koh K, Sato M, Morimoto A, Heike T, Ishii E, Yasukawa M. Subtypes of familial hemophagocytic lymphohistiocytosis in Japan based on genetic and functional analyses of cytotoxic T lymphocytes. PLoS ONE 5: e14173, 2010.

 3. Morimoto A, Shioda Y, Imamura T, Kanegane H, Sato T, Kudo K, Nakagawa S, Nakadate H, Tauchi H, Hama A, Yasui M, Nagatoshi Y, Kinoshita A, Miyaji R, Anan T, Yabe M, Kamizono J: Nationwide survey of bisphosphonate therapy for children with reactivated Langerhans cell histiocytosis in Japan. Pediatr Blood Cancer. 56: 110-115, 2011

4. Yanagimachi M, Goto H, Miyamae T, Kadota K, Imagawa T, Mori M, Sato H, Yanagisawa R, Kaneko T, Morita S, Ishii E, Yokota S. Association of IRF5 polymorphisms with susceptibility to hemophagocytic lymphohistiocytosis in children. J Clin Immunol 31: 946-51, 2011.

 5. Matsuda K, Nakazawa Y, Yanagisawa R, Honda T, Ishii E, Koike K. Detection of T-cell receptor gene rearrangement in children with pstein-Barr virus-associated hemophagocytic lymphohistiocytosis using the IOMED-2 multiplex polymerase chain reaction combined with GeneScan analysis. Clin Chim Acta. 412: 1554-8, 2011.

 6. Murata Y, Yasumi T, Shirakawa R, Izawa K, Sakai H, Abe J, Tanaka N, Kawai T, Oshima K, Saito M, Nishikomori R, Ohara O, Ishii E, Nakahata T, Horiuchi H, Heike T. Rapid diagnosis of familial hemophagocytic lymphohistiocytosis type 3 (FHL3) by flow cytometric detection of intraplatelet Munc13-4 protein. Blood. 118: 1225-30, 2011.