JMML委員会

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【委員会のご紹介】
 

若年性骨髄単球性白血病(Juvenile myelomonocytic leukemia: JMML)は、小児期のみにみられる疾患で、国内では1年間に約20例が発症します。古くは、若年性慢性骨髄性白血病と呼ばれたこともあり、長い間その病態も治療法も不明でした。1997年頃から各国の研究者が共同して診断基準の作成、検査法の確立、治療法の開発に努め、現在では、診断方法が統一されてきています。すなわち、末梢血と骨髄の細胞の形態診断、細胞培養(コロニーアッセイ)と遺伝子検索を行うことが必須です。そのため、1999年から小児血液学会のMDS委員会が中央診断システムを用いて診断方法を確立してきました。

ところで、JMMLは1990年代前半まではきわめて予後の不良な疾患でしたが、同種造血幹細胞移植が行われるようになり、その予後は飛躍的に改善しました。また、研究の進展により、JMMLは遺伝子異常の種類によっていくつかのカテゴリーに分かれることもわかってきました。将来は遺伝子型に応じて、より選択性の高い治療法が開発されていくと思われます。

当委員会では、2011年7 月に、初発JMMLの患者さんを対象とした臨床研究であるJMML11を開始しました。その概要ですが、まずJMMLの診断を上記の小児血液学会の中央診断システムを通して確定します。移植が行われることが決まったら症例が登録されます。統一された移植レジメンが用いられますが、具体的には国内の小児MDS治療研究会で2001年から行われているBusulfan、Melphalan、Fludarabineから成る非照射レジメンを採用しました。このレジメンは、効果が高く、合併症が少ないと考えられますが、特に静注ブスルファン製剤については、薬物の体内動態を調べ、個々の患者さんに最適な投与量を計算して設定します。また、移植後のドナーと患者の細胞比率をきわめて高い精度で検出できるキメリズム検出システムを用いることにより、免疫抑制剤の投与量を最適化させることが可能です。4年間で43例の登録を見込んでいます。世界最高の成績をめざしてわが国が取り組む研究ですので、ご期待ください。



【業績】
1.Muramatsu H, Makishima H, Jankowska AM, Cazzolli H, O’Keefe C, Yoshida N, Xu Y, Nishio N, Hama A, Yagasaki H, Takahashi Y, Kato K, Manabe A, Kojima S, Maciejewski JP. Mutations of E3 ubiquitin ligase Cbl family members but not TET2 mutations are pathogenic in juvenile myelomonocytic leukemia. Blood 115:1969-1975, 2010 

2.Sugimoto Y, Muramatsu H, Makishima H, Prince C, Jankowska AM, Yoshida N, Xu Y, Nishio N, Hama A, Yagasaki H, Takahashi Y, Kato K, Manabe A, Kojima S, Maciejewski JP: Spectrum of molecular defects in juvenile myelomonocytic leukaemia includes ASXL1 mutations. Br J Haematol 150:83-87, 2010 

3.吉田奈央、平林真介、渡辺静、在家裕司、土田昌宏、吉見礼美、増永敦子、大塚欣敏、伊藤雅文、小島勢二、中畑龍俊、真部淳。若年性骨髄単球性白血病75例の予後:小児血液学会MDS委員会中央診断登録例の検討.臨床血液 52:1853-1858, 2011 

4.真部淳。小児の骨髄異形成症候群。造血器腫瘍取扱い規約(日本血液学会、日本網内系学会編)、p81-86、2010、金原出版(東京)

5.真部淳。若年性骨髄単球性白血病の分子生物学。臨床血液 51:526-531, 2010

6.真部淳。骨髄異形成症候群(MDS)と若年性骨髄単球性白血病(JMML)。小児がん診療ハンドブック(堀部敬三編)、p366-375、2011、医薬ジャーナル社(大阪)

7.Matsuda K, Yoshida N, Miura S, Nakazawa Y, Sakashita K, Hyakuna N, Saito M, Kato F, Ogawa A, Watanabe A, Sotomatsu M, Kobayashi C, Ito T, Ishida F, Manabe A, Kojima S, Koike K: Long-term haematological improvement after non-intensive or no chemotherapy in juvenile myelomonocytic leukaemia and poor correlation with adult myelodysplasia spliceosome-related mutations. Br J Haematol, in press 

8.真部淳。若年性骨髄単球性白血病(JMML)の分子生物学と治療。臨床血液、in press