乳児白血病委員会

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【委員会のご紹介】
 

JPLSG 乳児白血病委員会は、生後12カ月未満の乳児に発症した乳児白血病についての研究を行っています。治療研究については、白血病のうち急性リンパ性白血病(以下ALL)を対象として臨床試験を行っています。

 小児ALLは、治療法の進歩により80%以上の患者さんが長期生存する時代になりましたが、乳児期に発症したALL(以下乳児ALL)の予後は依然不良です。本邦では、これまで全国規模の多施設共同研究(MLL96、MLL98、MLL03)において、乳児ALLの中でも特に予後不良なMLL遺伝子再構成陽性群(MLL+乳児ALL)に対し、化学療法と同種造血幹細胞移植を組み合わせた治療法により治療成績の向上を図ってきました。なおMLL03は、JPLSGで行われた全国規模の臨床試験第1号でした。その結果、当初30%程度であった長期無イベント生存率(合併症で死亡することなく、再発しないで生存する確率)が50%程度にまで改善しました。その報告は、これまでにBlood、British Journal of Haematology、Leukemia誌といった血液学で著名な英文雑誌等に掲載され、米国血液学会において口演発表に採択されるなど、世界的にも高い評価を受けて参りました。一方、造血幹細胞移植を行ってもなお半数近い患者さんが再発してしまうこと、また白血病が治っても成長障害などの移植関連合併症が高頻度で起こっている実態も明らかになりつつあり、まだまだ多くの課題を抱えている現状があります。
 これまでの国内外で行われてきた臨床試験の積み重ねにより、MLL+乳児ALLにおいても比較的治りやすい患者さんが存在し、これらの患者さんでは化学療法単独でも造血幹細胞移植を実施した場合と同程度の治療成績が得られることなども明らかになりつつあります。そこで、私たち乳児白血病委員会では、4年間を費やして新たな臨床試験、MLL-10を計画しました。MLL+乳児ALLに対しては、欧米の研究も参考にしてこれまでよりも強力な多剤併用化学療法を導入しました。そしてMLL+でも比較的治りやすいと思われる患者さん、すなわち診断時月齢6ヵ月以上で中枢神経浸潤のなかった患者さん(中間リスク)に対しては造血幹細胞移植を行わず、これまでよりもQOLの高い治癒を目指します。これ以外のMLL+で予後不良な患者さん(高リスク群)に対しては、造血幹細胞移植を含む強力な治療により予後の改善を目指します。一方、乳児ALLの約20%を占めるMLL遺伝子再構成をもたない患者さん(MLL-)に対しては本邦のMLL96およびMLL98研究で良好な治療成績の得られている化学療法を行います。また、治りやすい患者さんと治りにくい患者さんをより正確に判定する手段として微小残存病変(MRD)という検査がありますが、、本試験では三重大学小児科学教室および愛知医科大学小児科学教室のご協力を得まして、MRDの意義についても検証を行います。 

 なお乳児委員会では、残念ながら再発された乳児ALLの患者さんについても、再発後の治療について各施設と協議しながら、治療方針決定の手助けを行っています。



【業績】
1. Nagayama J, Tomizawa D, Koh K, Nagatoshi Y, Hotta N, Kishimoto T, Takahashi Y, Kuno T, Sugita K, Sato T, Kato K, Ogawa A, Nakahata T, Mizutani S, Horibe K, Ishii E. Infants with acute lymphoblastic leukemia and a germline MLL gene are highly curable with use of chemotherapy alone: results from the Japan Infant Leukemia Study Group. Blood 107: 4663-5, 2006

2.Tomizawa D, Koh K, Sato T, Kinukawa N, Morimoto A, Isoyama K, Kosaka Y, Oda T, Oda M, Hayashi Y, Eguchi M, Horibe K, Nakahata T, Mizutani S, Ishii E. Outcome of risk-based therapy for infant acute lymphoblastic leukemia with or without an MLL gene rearrangement, with emphasis on late effects: A final report of two consecutive studies, MLL96 and MLL98, of the Japan Infant Leukemia Study Group. Leukemia 21: 2258-63, 2007

3.Tauchi H, Tomizawa D, Eguchi M, Eguchi-Ishimae M, Koh K, Hirayama M, Miyamura N, Kinukawa N, Hayashi Y, Horibe K, Ishii E. Clinical features and outcome of MLL gene rearranged acute lymphoblastic leukemia in infants with additional chromosomal abnormalities other than 11q23 translocation. Leuk Res 32: 1523-9, 2008

4.Tomizawa D, Koh K, Hirayama M, Miyamura T, Hatanaka M, Saikawa Y, Ishii E. Outcome of recurrent or refractory acute lymphoblastic leukemia in infants with MLL gene rearrangements: A report from the Japan Infant Leukemia Study Group. Pediatr Blood Cancer 52: 808-13, 2009

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