日本小児がん研究グループ 血液腫瘍分科会(JPLSG)

TAM委員会

組織概要へ→
活動実績へ→

【委員会のご紹介】
 

一過性骨髄異常増殖症(Transient Abnormal Myelopoiesis: TAM)は、主にDown 症候群の新生児にみられる一過性の造血異常で、当初は自然軽快する予後良好な病態と考えられていました。しかし、その後の解析から一部に重症で早期死亡に至る患者さんがいること、また、自然軽快した後に急性巨核芽球性白血病を発症する患者さんがいることなどが判明し、予後は必ずしも一様でないことがわかってきました。このうち、早期死亡に至る患者さんに関しては早期産児、発症時白血球数10万/mm3以上、全身浮腫の存在、直接ビリルビン値高値などが予後不良因子となることがわかってきましたが、TAMの患者さんのうちでどのような条件をもった患者さんが急性巨核芽球性白血病を発症するのかなどについてはまだよくわかっていません。また、そもそもTAMがなぜ自然軽快するのかということに関してもほとんどわかっていません。一方、最近の分子生物学の進歩によりTAMの患者さんのほとんどにGATA1という造血に深く関わる遺伝子の異常があることがわかってきました。

このようにまだわからないことが多く、一部に予後不良な患者さんが存在するTAMに対して、TAM委員会では観察研究TAM-10を2011年3月から開始しました。これはTAMが疑われた患者さんがいた場合に登録していただいた上でGATA1その他の中央診断を行って診断を確定し、その予後を追跡しようというものです。治療の難しい患者さんに関しては推奨治療を呈示したり、治療相談の窓口を設けたりして治療している先生方の役に立つように活動しています。こうして約3年間登録していただいた患者さんから得られたデータを元にしてTAMの病態を明らかにし、TAMに対する適切な管理の方法 ─具体的にはどのようなTAMの患者さんは自然経過に任せてよいのか、どのようなTAMの患者さんは治療介入が必要なのか、適切な治療介入の内容はどのようなものであるのかといったこと─ あるいはどのような条件をもったTAMの患者さんが将来白血病を発症しやすいのかということ、TAMの患者さんが自然軽快するしくみといったものを明らかにしてゆきたいと考えています。


【業績】
 準備中